自己愛性パーソナリティ障害の夫と向き合うメンタル
この記事は、私自身の経験をもとに書いています。
夫が自己愛性パーソナリティ障害(NPD)であると気づいたことで、
私の人生観や人間関係の捉え方が大きく変わりました。
同じような状況にいる方が、少しでも安心できるように。
孤独を感じている方に、
“あなたはひとりじゃない”
と伝えたいです。
自己愛性パーソナリティ障害とは?

自己愛性パーソナリティ障害は、優越感や、賞賛されたいという欲求、共感性のなさを特徴とする精神疾患です。
自己愛性パーソナリティ障害の発症要因は、
幼少期の家庭環境や育てられ方が大きく影響すると考えられています。
たとえば、過度に褒められすぎて「特別な存在」として扱われたり、
逆に無関心や否定的な態度を受けて育った場合、健全な自己肯定感が育ちにくくなります。
親が子どもをコントロールしようとしたり、兄弟と比較して扱ったりすることで、劣等感や過剰な競争心が生まれることもあります。
過保護や甘やかしによって現実との距離感が育たず、失敗や挫折を経験しないまま大人になると、自分の価値を外側の評価だけで測るようになってしまうこともあります。
もともとの性格傾向や、社会の「目立つことが成功」という価値観、SNSなどの環境も影響を与えることがあります。
自己愛性パーソナリティ障害の10の特徴
- 誇大な自己重要感
(自分は他人よりもずっと価値があり、特別な存在だと信じて疑わない) - 成功への空想
(現実とはかけ離れた、完璧な成功や理想の愛、権力を手に入れる妄想に浸っている) - 自分が特別だという信念
(「自分を理解できるのは特別な人だけ」と思い、普通の人との関わりを軽視する) - 過度な賛美の要求
(常に褒められたり注目されたりしないと、不機嫌になったり不安定になる) - 特権意識
(自分は特別だから、他人より優遇されて当然だと考えている) - 他者の搾取
(自分の目的のためなら、相手の気持ちや状況を無視して利用することをためらわない) - 共感性の欠如
(他人の痛みや喜びに気づかず、寄り添うことができない、あるいはしようとしない) - 嫉妬心
(他人の成功に強い嫉妬を感じたり、逆に「自分は嫉妬されている」と思い込む) - 尊大・傲慢な態度
(上から目線で話したり、他人を見下すような言動をとる) - そして他者への利用的行動
(人間関係を「使えるかどうか」で判断し、相手を道具のように扱う)
私は、夫との会話の理解のずれがあることに気づき、調べた上記の内容に驚きました。
すべて当てはまっていたからです。
よくある誤解

私は、今まで夫の考えや性格、行動は
- 変わった性格
- 個性
- ただ自己中な人
- 自分の意見がはっきりとしていて芯がある人
- 揺らがない自信に満ち溢れている人
このように感じていました。
(実際にこのように捉えられ、見逃されている自己愛の人は多いそうです)
そして、
“この変わった性格の彼を理解できるのは私しかいない”
と思えるほど、彼を理解しているつもりでした。
しかし、そんなにあまくないと結婚12年目にして気づいたのです。
私が気づいた「夫の言動」とその背景
以下の内容は、私が実際にエピソードです。
“なんとかしなければならない”と行動するきっかけになった内容をお話します。
子どもに対しての執拗なしつけ

子どもが小学校に入ると、夫のしつけが厳しくなるのがわかりました。
- 「ママに手伝ってもらわないと出来ないとか赤ちゃんなの?ばぶばぶなのぉ~?もう小学生でしょ?恥ずかしいよ」
- 「パパは今、家族のために家のことしてるのに、なんで動かないの?」
- 「パパの言うこと聞かないなら、○○も買わないし、旅行にもいかないよ」
- 「(宿題の問題を教えているときに)3.2.1…、はい。もうダメ~。ちゃんとやってよ。考えてる?」
- 「クラスの子はちゃんとやってると思うよ?」
- 「早寝早起き出来ないのはやばいよ、マジで。早く寝な?」
- 「(パパはゲームをやりながら)飼っているペットの世話、全然できてないよ?やり直し!」
これらの叱咤を日常のしつけとして繰り返していました。
これらは、子どもの健全な自己肯定感や自主性を損なう可能性があります。
こうした言葉が繰り返されると、子どもは“愛されるには条件が必要”と感じてしまうのです。
強要と禁止令

何気ない会話の中にふと、嫌だな…と思うことがいくつもありました。
- 「白髪すごいよ?おばあちゃんみたい。」
- 「Nakiの友達のあいつさぁ、ほんとうちに来ないでほしい」
- 「なんでこれをやらないの?昔はやれてたよ?ちゃんと出来てない」
- 「どこに行くの?誰と会うの?何時に帰ってくる?」
- 「普通こうじゃない?そのやり方で失敗したら責任とれるの?」
- 「泣かれたら何も言えなくなるから嫌だ。俺が悪者みたいになる」
これらは、表面的に心配や妻を守るための行動に見えますが実際には
相手の支配欲や自己重要感の裏返しであることが多いそうです。
こうした言動を積み重ね浴びることで、自分の意思や感情がわからなくなっていきました。
私の意見は“攻撃”と判断される
子どもの件や、生活する中で窮屈さを感じたので
「私が言わなきゃ変わらない!」と勇気を出して夫に伝え続けました。
すると、夫の反応は以下でした。
- 「なんで俺を認めてくれないの?こんなにやってるのに!」
- 「Nakiだって出来てないよ!人のこと言える?」
- 「なんで家族を置いて、一人で出かけたがるの?家族で過ごしたくないの?」
- 「Nakiは俺の味方なんじゃないの?俺をすぐ否定するよね」
このような反応は、相手が「自分は常に正しい」「否定されることが耐えられない」と感じているために起こるそうです。
私はただ気持ちを伝えたかっただけなのに、いつも”責めた”ことにされ、話がかみ合わず話し合いが出来ないので、ただ夫の言うことを受け止めるしかありませんでした。
自己愛性パーソナリティ障害の人との生活で感じたこと

生活する中で、夫の発言や行動が中心になっていきました。
しかし、そんな状況になっても私は今は辛いけど、いつかは良くなると思っていました。
それが間違いだったことに気づいたのは、以下の行動や感情を自覚したときでした。
- 「私の存在が、彼の自尊心を支える道具になっていたこと」
褒めること・持ち上げること・否定しないこと、これが私の“役割”になっていて、気づけば自分の感情や意見を言えなくなっていた。 - 「何か意見すると、彼の機嫌次第で空気が変わる」
気に入らないことがあると不機嫌になり、沈黙が続く。理由を聞いても「Nakiがああ言ったから。俺は悪くない」と言われるだけ。常に地雷を避けるような生活だった。 - 「私の成功や喜びは、彼の不機嫌の引き金になる」
仕事や友達とのことを楽しく話すと「俺の方だって!」と言われるか、鼻で笑われる。喜びを共有できないことが、何よりつらかった。 - 「謝罪を求められるのに、彼は絶対に謝らない」
私が少しでも反論すると「○○って言った!そっちが悪いよね」と言われる。逆に私が傷つけられたときは、「なんで俺を悪者みたいに扱うの?」と言われて終わる。 - 「孤独なのに、離れることもできなかった」
周囲には「仲良し夫婦」と思われていたし、一般的な夫の愚痴として話すには重く、夫の印象が悪くなると思い、誰にも言えず、ただ耐えるしかなかった。 - 「自分が悪いのかもしれない」と思い込む日々
彼の言葉に傷ついても、「私が言い方を間違えたのかも」「私がもっと我慢すれば」と、自分を責める癖がついていた。 - 「感情を出すことが怖くなった」
泣いても怒っても、彼には通じない。むしろ「面倒くさい」「被害者ぶるな」と言わているような態度をされる。だから、何も感じないふりをするようになった。
これらが繰り返されることで、私の精神は限界を超えていました。
玄関を開けて家に入ることが出来ないのです。
“笑顔で「ただいま」と言おう!”と思えば思うほど、辛くて家に入れないのです。
涙があふれだし、それをふき取り、笑顔で家に入る!と考えては涙。その繰り返しで1時間…。
夫のいる家に帰りたいと思えなくなっていました。
対処法・向き合い方
- 感情の距離を保つ
相手の言動に振り回されないよう、心の中で一歩引いて見る癖をつける。 - 「正しさ」より「安全」を優先する
言い返したくなる場面でも、自分の心が傷つかないことを最優先にする。 - 期待しすぎない
共感や謝罪を求めても得られないことが多い。
だからこそ、期待を手放すことで心が軽くなる。 - 自分の感情を否定しない
「傷ついた」「怖かった」「悲しかった」と感じたら、それをちゃんと認めてあげる。 - 信頼できる人に話す
ひとりで抱え込まず、安心できる相手に話すことで、自分の感覚を取り戻せる。 - 記録を残す
言われたこと、されたことをメモしておくと、後で冷静に振り返る助けになる。 - 「自分のせいかも」と思ったら一度立ち止まる
相手の言葉に影響されすぎていないか、自分の感情を見つめ直す時間を持つ。 - 逃げ場を確保しておく
物理的にも精神的にも“ここは安心できる場所や人”を確保する。 - 専門家の力を借りることをためらわない
カウンセリングや相談窓口は、心の整理にとても役立つ。
自分を守るための選択肢として考える。 - 「自分を大切にする」ことを最優先にする
どんな関係性でも、自分の心と身体を守ることが最も大切。
それはわがままではなく、生きるための基本。
私は、これらをすべて実行しました。
カウンセリングを受けてよかったのは、中立な立場で判断して、受けれてもらえたことです。
私の親に話せば、私側を守る発言になりますし、夫側の母に関しては、話そうとも思わなかったので、カウンセラーの人と話せたことで、今の自分の心の状態や夫に対しての不安や希望などを相談できたことで、私がどうすればよいのかが少しずつ明確になっていった気がします。
夫が変わり始めたきっかけ
私は、“夫は変わらない”と諦めて別れようと思っていましたが、これが最後のチャンスだと伝え、この1冊を読んでもらったことで夫が変わり始めました。
現在 私の夫は、この1冊を読んでから少しずつ症状が緩和しています。
個人差がありますし、何より本人に、変わりたいという気持ちがないと変わらないです。
少しでも、同じ体験をされている方たちの支えになれれば幸いです。
自己愛性パーソナリティ障害 (心のお医者さんに聞いてみよう) [ 市橋秀夫 ]
読者へのメッセージ

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
このテーマは、決して軽いものではありません。
読んでいて、胸がざわついた方もいるかもしれません。
もし、少しでも「自分のことかも」と感じたなら、それはあなたの心が、
ちゃんと自分を守ろうとしている証です。
私も、長い間「私が悪いのかも」と思い続けてきました。
でも今は、そうじゃなかったと、少しずつ気づけるようになりました。
誰かの言葉に傷ついたとき、誰かの態度に苦しくなったとき、それはあなたの感受性が豊かだからです。優しいからこそ、痛みを感じるのです。
このブログが、あなたの心に少しでも寄り添えたなら嬉しいです。
そして、あなたが「自分を大切にしていいんだ」と思えるきっかけになれたら、もっと嬉しいです。
あなたの心が、安心できる場所にありますように。

あなたはもう、自分のために生きていい [ Poche ]