自分の気持ちを伝えるたびに、なぜか自分が悪いのかと思ってしまう。
そんな経験、ありませんか?
「傷ついた」と言ったのに、気づいたら私が謝っていた。
「辛かった」と伝えたのに、なぜか話が全然違う方向へ流れていた。
長い間、私はこれを「モラハラ」だと思っていました。
でも、もう少し詳しく調べていくうちに、
「ガスライティング」という言葉にたどり着きました。
あの日々の正体は、これだったんだ、と。
今日は、その二つの言葉の違いと、
私が経験してきたことについて書いてみようと思います。
モラハラとガスライティング、何が違うの?
「モラハラ」という言葉は、日本でもだいぶ広まってきました。
モラルハラスメントの略で、言葉や態度で相手を傷つける精神的な暴力のことです。
こういった行為が、モラハラと呼ばれます。
一方、「ガスライティング」は、モラハラの中でも特に巧妙な手口のひとつです。
簡単に言うと、こういう違いがあります。
モラハラ:言葉や態度で相手を直接傷つける
ガスライティング:相手の「現実の感覚」そのものを書き換えようとする
モラハラは、第三者が見ても「あれはひどい」とわかることがあります。
でもガスライティングは、見ている人には
「被害者が被害妄想に陥っているだけ」のように見えてしまうことが多い。
だから、助けを求めることも難しく、被害が長引きやすいのです。
「ガスライティングは、モラハラの中で最も破壊力が強い手口」と言う専門家もいます。
モラハラが「関係全体のパターン」だとすると、ガスライティングはその中でも
「相手が自分のことをおかしいと思い込むように仕向ける技術」
と言えるかもしれません。
具体的には、こんな言動が特徴です。
これらが繰り返されることで、受けている側は「私がおかしいのかもしれない」と思うようになっていきます。
怖いのは、受けている本人がなかなか気づきにくいこと。
私も、長い間気づかなかった一人です。
「ガス燈」という映画から生まれた言葉
ガスライティングという名前には、由来があります。
1944年のイギリス映画『ガス燈』。
物語の中で、夫は妻に気づかれないようにガス灯を暗くしておきながら、
「ガス灯は暗くなっていない、お前の気のせいだ」と言い続けます。
やがて妻は、自分の感覚がおかしくなったのかと思い込んでいく。
そこから生まれた言葉です。
「あなたの感覚はおかしい」と言い続けることで、相手の現実認識を壊していく。
映画の中の話ではなく、日常の夫婦関係の中でも、同じことが起きていることがあります。
私は夫の言動をモラハラだと思っていました。
でも実際は、もっと深いところを侵食されていました。
自分の感覚を、信じられなくなっていたから。
なぜ、ガスライティングをするのか
ガスライティングは、ただの「性格の悪さ」ではありません。
する側には、そうしてしまう心理的な理由があります。
大きく分けると、3つの目的が隠れていると言われています。
相手を思い通りに動かしたい
相手の自信や判断力を少しずつ奪っていくことで、
「この人の言うことが正しい」
「自分では何も決められない」
という状態を作り出します。
相手が自分で考えたり、自分で動いたりできなくなるほど、支配は深まっていきます。
自分の弱さを隠したい
自分に強いコンプレックス(劣等感)を持っている人は、
相手を「だめな人」だと思わせることで、
自分が「上」にいる感覚を保とうとすることがあります。
本当は自信がないからこそ、相手を下げることでバランスをとろうとしているのです。
自分のミスを認めたくない
「お前が悪い」「お前の勘違いだ」と責任を相手に押し付けることで、
自分の失敗や弱さから目をそらします。
本人が「自分はガスライティングをしている」と気づいていないことも、少なくありません。
「辛い」が通じなかった日々
私が一番しんどかったのは、感情を伝えるたびに否定されることでした。
「辛かった」と伝えると、夫はこう言いました。
「辛いって言えば、気持ちは辛くなくなるの?」
「泣かれると俺が悪者みたいになるから嫌なんだけど」
泣くことも、傷ついたと言うことも、俺を悪者にする行為として扱われていました。
感情を持つこと自体が、責められる理由になっていたんです。
それは、子どもにも向けられていました。
夫に怒鳴られて泣いていた息子に、
私が「怒鳴ることとしつけは違うよ!」と伝えたとき、夫は言いました。
「怒鳴ってない。大げさに泣いてるだけだ。泣いていることに興味はない」
息子の涙も、「大げさ」の一言で片付けられた。
私は心の中で「この人に感情はないの?」と怒りを覚えました。
でも言葉が出てこなかった。
その場では何も言い返しませんでしたが、息子の気持ちが落ち着いた頃、
夫に話をしても、私が話したい内容ではなく話がすり替わるのです。
話し合いが「裁判」になっていた
気になることがあると、私は夫に話しかけました。
でも、話し合いはいつも同じパターンで終わっていました。
言い返すと、また屁理屈ばかり言われる。
かといって、私の気持ちを伝えなければ、夫には何も伝わらない。
その板挟みの中で、何度も同じ会話パターンを繰り返していくうちに、
頭が真っ白になっていきました。
毎回、会話が終わるころには、ぐったりと疲れ果てていました。
そして、必ずと言っていいほど起きることがありました。
私が夫の言動について話し始めると、夫は過去の話を持ち出してくるのです。
気づくと、「俺を責める権利があるのか」という問いになり、
私が “答えを迫られる立場” になっていました。
「私が傷ついた」と言ったのに、なぜか私が謝っている。
今思えば、あれは話し合いではなかったんだと思います。
罪悪感を持たせることで、私の感情を封じ込める。
そういう構造の中にいたんだと。
そして、この行為がより深刻なのは、
じわじわと相手を追い詰めるため、される側が気づきにくいという点です。
「私がおかしいのかも」「私の思い込みかな」と自分を責め続けている間に、
心はどんどん疲れていく。
また、ガスライティングは夫婦や恋人の間だけで起きるわけではありません。
学校や職場など、上下関係がある場所でも起きることがあります。
大切なのは、「なんかおかしい」と感じた自分の感覚を、まず信じてあげること。
その小さな気づきが、回復への入口になります。
試したこと、試さなければよかったこと

ガスライティングへの対処として、専門家がすすめていることがいくつかあります。
① 記録を残す
日付や言われた内容をメモしておくこと。
「そんなこと言っていない」と言われても、書いてあれば
「私は間違っていない」という根拠になります。
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② 信頼できる人に話す
一人で抱え込まず、友人やカウンセラーなど、
第三者に話を聞いてもらうこと。
「あなたの感覚はおかしくない」という言葉を、
外から受け取ることがとても大切です。
③ 自分の直感を信じる
「おかしいな」と感じたら、その感覚を否定しないこと。
直感は、多くの場合、正しい信号です。
私が実際にやっていたことは、「距離をとること」でした。
限界を感じたとき、「頭冷やしてくる」と言って外に出たり、
別の部屋に移動したりしていました。
感情が高ぶった状態で話し続けても、消耗するだけだとわかっていたから。
逆に、やらなければよかったと思っているのは、
「今日はもう疲れたから、話し合いやめよ」
と伝えたこと。
夫は「は?なにも解決してないのに?」と言い、余計に状況が悪化しました。
「やめる」という言葉が、相手をさらに刺激してしまったんだと思います。
終わらせたいときは、言葉で宣言するより、
静かにその場を離れる方が、自分を守れました。
心の悲鳴から身体が、先に教えてくれていた
そんな日々が続く中で、「カサンドラ症候群」という状態があることを知りました。
感情的なやりとりがうまくいかないパートナーとの生活が続くことで、
心と体に不調が出てくる状態のことです。
自己愛傾向のあるパートナーとの関係でも、
同じような状態になることがあると言われています。
症状としては
頭痛、めまい、不眠、食欲の変化、自己肯定感の低下、無気力感などが
代表的なものとして挙げられています。
私の場合、こんなことが起きていました。
あのとき、身体は正直でした。
言葉にできない限界を、身体が先に
「もう無理だよ」と教えてくれていたんだと、今は思います。
あなたの感覚は、壊れていない
「私がおかしいのかな」
そう思い続けてたけど、それ自体がガスライティングの影響だったと
気づきました。
感情を持つことは、おかしくない。
傷ついたと言うことは、弱さじゃない。
涙が出ることは、大げさじゃない。
モラハラだと思っていたけれど、もっと奥深くまで侵食されていた。
洗脳に近かったのかなって感じます。
でも、気づけたことが、回復を早められたと思っています。
私と同じような体験をされている方、
ゆっくりでいいです。
まず自分自身を守れるように少しずつ前に進むことが
あなたを守る方法です。
あなたのペースで、少しずつ…☆
「自己肯定感」を高めて自分を大切にしよう (YA心の友だち) [ 古荘 純一 ]

